家具や建具に使われる化粧板の種類

デザイン・制作

家具や内装ドアに使われる木目の板材には天然木が使われる事もありますが、人工的に仕上げた化粧板が使われるケースが多くあります。

一般的に、天然木を使用した製品の価格の方が高額と言えますが、使い勝手や性能面で見ると一概にも化粧板が劣るということはなく、例えば天然木の場合は、反りや日焼け、キズが入りやすいといった特徴がありますが、化粧板の中には、反りにくい、日焼けしにくい、キズに強い硬度があるといった性能を有しているものもあります。

化粧板には様々な種類があり、用途に応じて使い分けられています。化粧板は「基材」と呼ばれるコアに「化粧材」を貼付けて構成されます。「化粧材」や「基材」の材質と、カウンターや扉等への製品化の際の「木口の処理・造形」の違いにより分類されます。

 

■基材

「基材」には、木の小片を樹脂(接着剤)で熱圧着した「パーティクルボード」や、木材の繊維を熱圧成型した「MDF」などが使われます。MDFは加工した際に平滑面を保ちやすく(きめが細かい)、框意匠など曲面の造形部を有する製品に使われます。また、用途によっては不燃材や金属を基材とした化粧板もあります。

 

■化粧材

「化粧材」(化粧シート)には、含浸紙、コート紙、フィルムがあり、それぞれ以下の特徴があります。

 

・含浸紙系

柄を印刷した紙を樹脂に含浸させた化粧材です。印刷紙がベースなので繊細な表現が可能です。

 メラミン:一般的に硬度があり、カウンタートップや家具の扉等に使われます。

 DAP:メラミンに比べ加工性があり、木口シート等の加工材に使われます。

 

・コート紙系

柄を印刷した紙に樹脂をコートした化粧材です。印刷紙がベースなので繊細な表現が可能です。

 ウレタン:含浸紙に比べて薄いものですがその分安価で、家具や建具の材料に使われます。

 

・フィルム系

柄を印刷した樹脂シートの化粧材です。樹脂シートがベースなので光沢や発色の表現に優れます。

 PVC(塩ビ):発色・光沢・加工性に優れます。家具や建具の材料として使われます。

 オレフィン:環境問題から塩ビシートの代替として登場しました。家具や建具の材料として使われます。

 PET:おなじみペットボトルの材料です。家具や建具の材料として使われます。

 

木目を表現する場合、表面に木の導管を再現した凹凸をつけ意匠性を上げる場合があります。「メラミン化粧材」や「塩ビシート」「オレフィンシート」「PETシート」で使われる手法です。「ウレタン化粧紙」では凹凸を入れるだけの厚みがなく、「グロスマット仕上げ」と呼ばれる導管部分を艶消し印刷として見た目に凹凸を感じさせる手法があります。

化粧シートの木目は印刷されたものですが、印刷技術と凹凸等仕上げ技術により、パッと見天然木との区別が難しいと感じるほどです。ちなみに、本物の木を薄く剥ぎ、化粧材のように表面に貼り付ける仕上げを「突板仕上げ」と呼びます。

 

■木口の処理・造形

木口(板の切断面)処理は、製品化する際に材料の防水に重要で、木口処理をしないと水がかかった場合に膨れが発生してしまいます。また、意匠性の高い製品を作るに当たり、木口の仕上りが見た目の印象に大きく影響します。

 

・テープ貼り・エッジ貼り

単純な仕上げ方は、木口をテープで覆ってしまう方法です。木口テープにも様々な種類があり、単純な木口テープ、厚みを与えた樹脂エッジや天然木のエッジ、また金属の額縁で囲うケースや、柔らかい厚めの樹脂を使って人との衝突を考慮した仕上げもあります。

 

・ポストフォーム仕上げ

「メラミン化粧板」特有の仕上げで、メラミン化粧材を基材に貼付ける際、端部を曲面に造形することで、曲面のある端部を表現する事ができます。これにより表面側の木口がなくなるため、耐水性に優れた成形とも言えます。

 

・ラッピング仕上げ

家具や建具の扉に使われる仕上げで、造形済みの基材を化粧シートで包んで成形する手法です。框組扉の框部分のような複雑な断面にも対応できます。「塩ビシート」「オレフィンシート」「PETシート」のような樹脂シートで主に使われますが、「ウレタン化粧紙」での成形もあります。

 

・真空成形

「塩ビシート」「オレフィンシート」「PETシート」のような樹脂シートを加温して基材に被せ、空気を吸引して成形する方法です。バキューム成形とも呼びます。一品一品異なる形状の造形に適しており、多品種少量生産向きです。

 

Posted by tkdesign